ゲーミングPCで性能を左右する「グラフィックボード」と同じぐらい大事なのが「電源ユニット」です。
ただし、グラフィックボードと電源では、重要性の意味が違ってきます。
- グラボ…ゲームを快適に遊ぶために大切なもの
- 電源…パソコン全体に関わる心臓や血液のようなもの
というイメージです。つまり、電源はパソコン全体の命に関わるパーツで、とても重要なのです。
電源が壊れると他のパーツも巻き込まれて壊れたりしますし、電源の容量が足りなくなるとパソコンの動作が不安定になり、突然シャットダウンしたり、パソコンが起動しなくなったりします。
PC初心者だと電源をおろそかにする人が多いのですが、しっかり選んでほしいパーツです。
この記事の目次
普通のパソコンとゲーミングPCでは電源も違う?
電源はゲーミングPCに限らず、普通のパソコンでもとても重要になる部分なので、違いはありません。どっちのPCであっても良い電源を選ぶべきです。
しかし、ゲーミングPCの場合、グラフィックボードや高性能なCPU、大量のメモリ、ゲーム用のSSDやHDDというように、普通のPCよりもたくさんの電力を必要とするパーツが搭載されています。
そのため、普通のPCよりも容量の大きな電源が必要になります。
ここが普通のPCとは唯一違うところです。
最も注目すべきポイントは容量
まず一番重要視すべきポイントは容量です。容量はW数(ワット数)で表します。
まずは実際に電源を見てみましょう。
注目すべきポイントは「○○W」と書かれているところです。これがワット数、つまり容量になります。
また、電源の名前にも容量が書かれているので、名前を見るだけでも容量を把握することができます。
この容量が多ければ多いほどたくさんの電気を供給できます。
どれぐらいの容量が必要なの?
パソコンは色々なパーツに電気を送って動かしています。では実際にどれぐらいの容量が必要なのか?というと、搭載しているパーツの種類や数によって異なります。
例えば、消費電力が100WのCPUと150Wのグラフィックボード、さらにメモリやHDDなど別のパーツを合わせて60Wだった場合、そのPCに必要な電源容量は310Wということになります。
しかし、さらに高性能なパーツになると、消費電力が150WのCPU、300Wのグラフィックボードというように上がるため、必要な電源容量も増えていきます。
必要な電源容量は計算することができます。各パーツごとにメーカーが必要な電力を公開しているため、それらを合計すれば必要な電源容量は導き出せます。
つまり、どれぐらいの容量が必要なの?の答えは、『自分で計算してね!』ということになります。
…とは言っても。たしかに必要な電源容量は自分で計算できるのですが、初心者だと難しいですし、いちいちパーツを調べて電源がどれぐらい必要かな~なんて計算するのはメンドクサイですよね。
必要な電源容量が計算できるサイトなんてのもあるのですが、これもやっぱり初心者だとなかなか使いこなせませんし、『メンドイよ~』ってのが本音だと思います。
そこで、『結局のところ、電源の容量は何Wあればいいのよ?』というギモンについて解説します。
電源の容量は何Wあれば平気?
結論から言うと、ゲーミングPCに必要な電源容量は500W~600Wぐらいになります。
昔はCPUやグラフィックボードもたくさんの電力を必要としていましたが、技術の進歩によって、グラフィックボードやCPUは省電力化していて、消費電力がどんどん減っています。そのため、昔ほど大容量の電源は必要なくなっています。
使うパーツによっては500Wでも十分すぎることがありますが、電源ユニットは経年劣化で容量が減ることもあるようですし、あとからパーツを追加しようとして必要な容量が増えることもあるので、少し多めにしておくのがオススメです。
また、電源容量がギリギリの状態だと、電源ユニットにかかる負荷が高くなり、劣化も早くなります。300Wが必要だからといって350Wというような選び方だと少し心配です。
なので、最大で必要な電源容量の1.5倍ぐらいが丁度良い容量です。それが500W~600Wです。
80PLUS認証で、電源の性能が分かる
実は電源にもランクがあり、同じ容量の電源でも違いがあります。
電源には「変換効率」というものがあり、400Wを出力するからといって、必要な電力も400Wとは限りません。
例えば、変換効率が80%の電源ユニットを使うとなると、400Wを出力するために必要な電力は、500Wになります。
この変換効率が高ければ高いほど高性能な電源ということになります。
そして、これを判断するのが「80PLUS」という規格です。
ランク | 変換効率 |
---|---|
80PLUS | 80% |
80PLUS BRONZE | 82~85% |
80PLUS SILVER | 85~88% |
80PLUS GOLD | 87~90% |
80PLUS PLATINUM | 89~92% |
80PLUS TITANIUM | 90~94% |
このように変換効率によってランク分けされているので、だいたいどれぐらいの変換効率か?というのはひと目で分かります。
80PLUSの認証は、変換効率が80%以上のものにしか付けられないので、80PLUS認証のない電源はそれ以下ということになります。
ではもう一度、最初に例として出した電源を見てみましょう。
「80PLUS認証:Bronze」と書かれています。
つまり、この電源は650Wですが、変換効率が82%~85%になるので、650Wを出力するには、もっとたくさんの電力が必要ということになります。
長々と説明したけど、つまりは電気が無駄なところに流れちゃってるってことなんだ。変換効率が80%だとすると、残りの20%が熱や振動など別のエネルギーとして消えちゃうんだ。
それってすごい無駄だよね。だって残りの20%にも電気代を払ってるってことになるし。
実際に電気代が跳ね上がったりするわけではないので、そこまで神経質になる必要はありませんが、よりエコで電気代に優しいのは上位のランクです。
また、無駄な発熱は電源の劣化にも繋がります。発熱が少なくすむと、電源も長持ちします。
最低でも80PLUS BRONZEぐらいで考えればOKです。
電源ユニットは使っていくうちに劣化していく
電源容量を多めにしておくもう一つの理由が、電源ユニットの劣化を考慮するからです。
常に容量がギリギリだと、電源ユニットの劣化が早くなり、故障しやすくなってしまいます。
経年劣化で急激に電源ユニットの容量が減るようなことはありませんが、それでも少しずつパワーが落ちてきてしまうので、やはりギリギリよりも余裕をもたせておくべきです。
先ほども書きましたが、目安としてよく言われるのはPC全体で必要な量の1.5倍ぐらいです。
『2倍は必要』と言われたりもしていましたが、過剰過ぎるのでは?ということで、1.5倍ぐらいで良いでしょう。
ドスパラなどのBTOメーカーでゲーミングPCを購入する場合は、必要な電力をすべて計算した上で余裕をもたせているので、自分で計算する必要はありません。
自分であとから増設する場合はカスタマイズで電源を増やしておこう
BTOメーカーで購入する場合はそのままでもOKと言いましたが、例外がひとつだけあります。それは、自分でパーツを増設する場合です。
BTOメーカーで購入するPCは、その時に搭載されているパーツから必要な電力を計算しています。なので、あとからグラボやCPUを交換すると、電源容量が足りなくなる可能性があります。
もし、今後お金を貯めてPCをカスタマイズする予定があるなら、電源容量は増やしておきましょう。
先ほども書いたように、電源容量は500W~600Wあればひとまず安心なので、ここがひとつの目安になります。
グラフィックボードを1枚だけ搭載し、SSDやHDDは3つぐらい、過度なオーバークロックはしないというよくある使い方をするのであれば、電源は500Wでも大丈夫です。
心配であれば600Wまで増やしてもいいと思いますが、それ以上は無駄になる可能性が出てきます。価格も跳ね上がってくるので、普通にゲームをプレイするだけというのであれば、やはりこのあたりで十分です。
特に注意すべきは、低スペック~ミドルスペックぐらいのPCを購入する人です。
低スペックPCだと電源容量が350Wぐらいになっていることも多いので、500Wぐらいまで増やしておきましょう。
メーカーってやっぱり重要なの?
電源に限らず、PCパーツは人によって良いと感じるメーカー、悪いと感じるメーカーが違います。
そのため、『あの人は○○が良いって言ってたけどあの人にやめとけって言われた』みたいなことがよく起こります。
特に電源はPC全体に影響するパーツなので、メーカーについて色々言われますが、僕自身としては良いメーカーでも壊れるときは壊れるし、壊れないときは壊れないと感じています。
今までにPCを組んだりしてきて、メーカーにこだわったことは1度もないのですが、それでも電源が突然壊れたり、初期不良や、すぐに壊れたものに当たったことは1度もないんです。
一方で、メーカーにこだわって高いお金を出して購入した電源がすぐに壊れてしまった友人もいます。なので、僕の実体験として語る上では、『メーカーはさほど影響しないのでは?』という回答になります。
ただし、だからといって全く気にしないのもどうかと思います。
グラボやメモリであれば小さな違いというレベルなのですが、電源は使われているコンデンサの違いがあったり、壊れてしまった時のリスクが大きすぎるため、ほんの少しだけはメーカーも見ておいたほうが良いです。
おすすめのメーカーは?
製品そのものの品質や評判でいうと、Seasonicは評価がかなり高いです。サポートが手厚く質が高いのが特徴で、保証期間が長く、壊れたときは修理ではなく新品交換になります。
また、電源に使われているパーツが日本製というのも信頼性に繋がるポイントです。ただし、欠点として価格が高いです。
他にも、EnhanceやCWT、Corsair、SilverStone、オウルテックなども評判が高いメーカーですが、後者3つは他社の電源を買って自社で販売しています。(このようなものをOEMと言います。)
このように電源メーカーといっても色々あるので、ある一定のボーダーライン以上はすべておすすめのメーカーということになります。
僕としては、悪いメーカーとしてよく名前が挙がるところ以外なら、どれでも大丈夫という判断をしています。
PCパーツを選ぶ時に『やめとけ』と言われやすい玄人志向も、電源ユニットメーカーとしては悪くないです。安くて質が良いということで、コスパはかなり高いです。(僕がメインPCに使っている電源も玄人志向です。)
玄人志向の電源の中には、OEM元がSeasonicのモノもあったようです。つまり、名前は玄人志向だけど中身は評判の高いSeasonicということです。
このように、電源はメーカーだけで判断できないところでもあるので、過度に信頼しすぎたり、気にしすぎるのは良くないです。『絶対にやめろ!』といろいろなところで言われているメーカー以外ならどこでも大丈夫です。
簡単にいうと価格が安くて質が悪い電源って感じ。だから圧倒的に悪評が多いんだ。
電源のメーカーをあまり気にしない僕も避けてるよ…。
僕は、過去に評判が最も高く、値も張る電源を使ったことがありますが、『やっぱここの電源はちげぇな~最高だぜ~ヘッヘ~』なんてことになったことはありません。
結局、壊れなくて長く使えればそれが最高なので、最終的には運です。PCパーツはいくら丁寧に使っても壊れてしまうことはあります。それはどんなメーカーでも同じです。
BTOでゲーミングPCを購入する場合、電源のメーカーは選べるのか?
昔は電源のメーカーを選ぶことができないBTOメーカーが多かったのですが、最近は細かく選べるようになっていますし、初期状態でもしっかりしたものが使われています。
ゲーミングPCを選ぶ時、電源もしっかり見ておきたいという人のために、おすすめのBTOメーカーとその特徴をまとめました。
ドスパラ
ドスパラといえば、電源が悪いという口コミが多かったメーカーですが、今は違います。
ドスパラで使われている電源はデフォルトがAcbelやDELTAというメーカーです。AcbelはOEMを中心としたメーカーです。
Acbelはあまり目立たないメーカーですが、その理由が他社製品の製造に力を入れているからです。で、じゃあ評判はどうなの?っていうと、とにかく普通みたいです。
また、DELTAに関しても悪くないメーカーです。特別良いわけでもないですが、壊れやすい粗悪な電源というわけではなく、ごくごく普通の電源です。
さらに、ドスパラはカスタマイズで細かくメーカーを指定できます。
未だに、『ドスパラは電源が…』というような書き込みや口コミを見ることがありますが、正直言って情報が古いです。
たしかに昔はあまり良いイメージがありませんでしたが、今は明らかに良い方です。
カスタマイズできる電源のメーカーは優秀なところが揃っているので、もし気になるならカスタマイズで変えましょう。
ツクモ
ツクモはデフォルトの電源がCWT製です。CWTはかなり評判が良いメーカーなので、品質ではかなり上位です。
カスタマイズで他のメーカーの電源にも交換できるので、ドスパラと同じかそれ以上におすすめです。
G-Tune
G-Tuneは電源のメーカーが非公開です。カスタマイズできるのも容量のみで、メーカーの指定ができません。そのため、他のメーカーに劣る印象があります。
ただ、ネット上の書き込みを見ると、OEMを主体としたメーカー(Acbelと同じような感じ)の電源が使われていると書かれていたので、今は固定化されているのかもしれません。
ちょっと心配ではありますが、80PLUSの認証はしっかり受けている電源なので、そこまで大きな心配をする必要はないのかな?とも思います。
とはいえ、ドスパラやツクモも同じく80PLUS認証の電源を使っているので、電源で優劣をつけるならG-Tuneは少し弱いです。
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