ついに発売された最強のグラフィックボード「RTX 2080 Ti」の性能を検証します。
気になるのはGTX 1080 Tiと比べてどうなのか、旧世代のグラボを使っている人は、『GTX 1080 Tiを買うべき?それとも新しいRTX 2080 Tiにするべき?』と迷っていると思いますので、このあたりについても触れていきます。
この記事の目次
サイズがかなり大きいRTX 2080 Ti
購入したのはMSIのRTX 2080 Ti GAMING X TRIOです。サイズがかなり大きく、補助電源も8pin×2、6pin×1を要求されます。
グラボ本体はファンが3つあるタイプで、ひとつだけ小さなファンになっています。
光り方がとてもカッコイイです。本記事ではこのグラボを使い、実際にゲームを遊んだりしてRTX 2080 Tiの性能を見ていきます。
各種ベンチマーク
まずは世間で言われているほどの性能アップがあるのかチェック。比較用としてGTX 1080 Tiもテストします。
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メイン | 比較用 | |
---|---|---|
CPU | Core i7-7700K | |
グラボ | RTX 2080 Ti | GTX 1080 Ti |
メモリ | 32GB(16GB x2) |
FINAL FANTASY XIV:紅蓮のリベレーター
RTX 2080 Ti | 17691 |
---|---|
GTX 1080 Ti | 16260 |
FF14ベンチマークではあまり大きな差はありませんでした。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION
RTX 2080 Ti | 11066 |
---|---|
GTX 1080 Ti | 9159 |
FF15のベンチマークでは、RTX2080 Tiの方が1.2倍ほど高いスコアになりました。FF14よりは差が出てきましたね。
FIRE STRIKE 1.1
Graphics Score | |
---|---|
RTX 2080 Ti | 35687 |
GTX 1080 Ti | 26436 |
FIRE STRIKEのGraphics Scoreはスコアが大きく伸びました。GTX 1080 Tiよりも約1.3倍高いスコアです。
上位2%に入る性能です(CPUの性能も影響します)。
TIME SPY 1.0
Graphics Score | |
---|---|
RTX 2080 Ti | 14034 |
GTX 1080 Ti | 8463 |
FIRE STRIKEよりも重いTIME SPYでは、約1.6倍も高いスコアになりました。
軽いゲームだと差がでにくかった両社ですが、重くなるとハッキリと差が見えてきます。
実際にゲームをプレイしてRTX 2080 Tiの性能を検証
ベンチマークソフトではムラがある結果になりました。続いてはゲームを実際に遊んでその差を見ていきます。
設定はすべて最高にし、比較はGTX 1080 Tiのみとおこないます。また、僕は4Kモニターを所持していないため、比較はフルHDモニターとWQHDモニターになります。

PUBG
- RTX 2080 Ti:1080p
-
166.15fps
- GTX 1080 Ti:1080p
-
120.46fps
- RTX 2080 Ti:1440p
-
118.01fps
- GTX 1080 Ti:1440p
-
78.96fps
Sanhok CampAlphaを一周
PUBGは順当な結果となりました。GTX 1080 Tiよりも約30%ほどの性能アップです。
フルHDだとGTX 1080 Tiでも高いフレームレートを維持できていましたが、解像度が上がるとやはり厳しいですね。RTX 2080 Tiならウルトラ設定、WQHDの高解像度でもサクサク動きます。
さらに詳しい情報に関しては、PUBGの推奨スペックで解説しています。
フォートナイト
- RTX 2080 Ti:1080p
-
169.53fps
- GTX 1080 Ti:1080p
-
163.39fps
- RTX 2080 Ti:1440p
-
173.71fps
- GTX 1080 Ti:1440p
-
122.14fps
ロビー→降下→即死まで
フォートナイトはフルHDだとほとんど差はなく、解像度が上がるとRTX 2080 Tiの強さが際立ちました。
ただ、GTX 1080 Tiでも平均120fpsは出ていますので、『確かにRTX 2080 Tiの方が性能は高いけど、まだ必要ない』というような段階なのかなと思いました。
WQHDの144Hzのモニターを使う場合でも、GTX 1080 Tiで十分です。
オーバーウォッチ
- RTX 2080 Ti:1080p
-
246.45fps
- GTX 1080 Ti:1080p
-
184.1fps
- RTX 2080 Ti:1440p
-
200.53fps
- GTX 1080 Ti:1440p
-
142.8fps
練習モード内を数分間動き回る
オーバーウォッチも分かりやすく性能差が出ますね。こちらも約30%ほど差があります。
RTX 2080 Tiだと240fpsを常に維持できているような状態だったので、240Hzモニターを最大限活かしつつ高画質にするなら視野に入るかもしれません。
レインボーシックスシージ
- RTX 2080 Ti:1080p
-
267.8fps
- GTX 1080 Ti:1080p
-
250.4fps
- RTX 2080 Ti:1440p
-
260.3fps
- GTX 1080 Ti:1440p
-
185.2fps
ゲーム内ベンチマーク使用
シージはフルHDだとあまり差がなく、高解像度で差が開きます。
高解像度モニターを使わないならGTX 1080 Tiで十分ですね。
モンスターハンターワールド
- RTX 2080 Ti:1080p
-
122.62fps
- GTX 1080 Ti:1080p
-
89.1fps
- RTX 2080 Ti:1440p
-
92.18fps
- GTX 1080 Ti:1440p
-
57.77fps
古代樹の森を一周
MHWはRTX 2080 Tiの強さが明らかに出ました。もともとかなり重いゲームなので、こういう場合にはRTX 2080 Tiの実力が発揮されます。
高解像度でも90fpsを超えているので、動作の重いAAAタイトルをメインでプレイするなら、RTX 2080 Tiは良い選択になりそうです。
実際にゲームを遊んでみた感想のまとめ
実際にゲームを動かしてみてわかったのは、高解像度になればRTX 2080 Tiの性能アップが分かるということですね。
他にも検証したいタイトルはいくつかありますし、BFVやCOD:BO3などのゲームでどれぐらいの差がでるのかは気になるところ。最新ゲームで差が開けばRTX 2080 Tiの魅力は増していくはずです。
ただ、価格差を考えるとRTX 2080 Tiは微妙と言わざるを得ません。(価格に関しては少しあとで触れます。)

RTXシリーズは単なる性能アップ以外にもいろいろな技術が詰まっていますので、そこに魅力を感じられる人じゃないと選ぶメリットはものすごく低いと思います。
4Kだとさらにスコアが開く場合もある
また、僕は4Kモニターを所持していないため実際には検証できませんでいしたが、4Kモニターだとさらに差が開くようです。
新世代グラフィックスの幕開けを告げる「GeForce RTX 2080 Ti」をテスト
これによると、RTX 2080 Tiだと4Kで60fpsを超えることも可能になるとのこと。やはり高解像度で遊びたいならRTX 2080 Tiも魅力的ですが、そうでない場合は必要なさそうです。
コスパでは完全敗北のRTX 2080 Ti
RTX 2080 Tiは、確かに高性能です。GTX 1080 Tiと比べてもしっかり分かります。
ただ、コストパフォーマンスはどうか…というと、ハッキリいってダメです。明らかに高すぎますし、その価格に見合うだけの性能差が今のところはありません。
僕が購入したRTX 2080 Tiは188,000円、GTX 1080 Tiは約100,000円です。価格差は約90,000円。これを高いと見るか妥当と見るか…ですが、妥当ではないですよね。明らかに高いです。
性能差がハッキリでた場合でも約30%ほどしか差がないので、コスパは超絶悪いです。
GTX1080Tiを買うべきか、RTX2080Tiを買うべきか
『GTX 970を使ってるんだけど、RTX 2080 Tiにするべきか、GTX 1080 Tiにするべきか迷っている』というような人は非常に多いと思います。
僕としてはGTX 1080 Tiの方がオススメです。現状ではGTX 1080 Tiを選ぶほうがメリットが多いです。
- フルHDだと性能差はあまり感じられない
- 約9万円もGTX 1080 Tiの方が安い
- 重いゲームもしっかり動かす性能がある
こんな感じでしょうか。GTX 1070やGTX 1080、GTX 1080 Tiは、過去のグラボを圧倒的な性能と価格で突き放し、その存在感を維持し続けてきました。
『RTX 2080 Tiにそれほどの魅力があるか?』というと、今のところはありません。
重いゲームを動かすならGTX 1070 TiやGTX 1080 Tiで十分ですし、FPSやLoLなどの競技性の高いゲームを遊ぶ場合は設定を下げることが多いので、そもそもGTX 1080 Tiすら必要ありません。
フルHDのモニターで遊ぶ一般ゲーマーや、eスポーツタイトルを遊ぶゲーマーは、GTX 1080 Tiで十分です。
僕の本音としては、今回の検証で『RTX 2080 Tiスゲー!』と感動したかったのですが、それほど…という感じでした。
逆に、RTX 2080 Tiを購入しても良さそうなのは、以下のような人です。
- 新しい技術にいち早く触れたい
- WQHDや4Kで設定も上げて遊びたい
- お金をつかうのが大好き
最後のは冗談として…それぐらいコスパが悪いですが、性能は間違いなく上がっています。
新しいモノが好き、新しい技術にはやく触れてみたい、4Kなどの画質を重視したい、という人であれば、GTX 1080 TiよりもRTX 2080 Tiを選ぶほうがメリットが多いかもしれません。
レイトレやDLSSに対応してからが勝負
とはいえ、このまま負けているRTX 2080 Tiではありません。まだ余力を残しています。
単純な性能差、コスパではGTX 1080 Tiに負けてしまいましたが、今回の目玉はレイトレーシング(RTX Technology)とDLSSです。
新技術のRTXでは、光の当たり方などをリアルタイムで処理することができるようになり、今までよりも高画質でリアルな映像でゲームがプレイできるようになります。レイトレーシング、略してレイトレですね。
RTXシリーズのグラボは型番にRTXという名前がついている通り、はレイトレが魅力のひとつなので、まだ対応しているゲームが遊べない以上、RTX 2080 Tiの評価を決めつけてしまうのは良くないのかなと思います。
DLSS(Deep Learning Super Sampling)はアンチエイリアシングの処理に関する技術です。従来のアンチエイリアシングよりも軽くて綺麗に処理でき、DLSSのありなしでスコアが相当変わるそうです。
なので、レイトレやDLSSに対応したゲームをプレイする場合は、また評価が変わりそうです。現在はまだ対応しているゲームがなく、遊ぶことができないため、実際に評価できるようになるのはもう少し先になります。
レイトレとDLSSの対応を発表しているゲーム一覧
レイトレ | DLSS | |
---|---|---|
Ark: Survival Evolved | ○ | |
Assetto Corsa Competizione | ○ | |
Atomic Heart | ○ | |
Battlefield V | ○ | |
Control | ○ | |
Dauntless | ○ | |
Darksiders III | ○ | |
Deliver Us The Moon: Fortuna | ○ | |
Enlisted | ○ | |
Fear The Wolves | ○ | |
Final Fantasy XV | ○ | |
Fractured Lands | ○ | |
Hellblade: Senua’s Sacrifice | ○ | |
Hitman 2 | ○ | |
In Death | ○ | |
Islands of Nyne | ○ | |
Justice | ○ | ○ |
JX3 | ○ | |
KINETIK | ○ | |
Mechwarrior 5: Mercenaries | ○ | |
Metro Exodus | ○ | |
Outpost Zero | ○ | |
Overkill’s The Walking Dead | ○ | |
PUBG | ○ | |
Remnant | ○ | |
SCUM | ○ | |
Serious Sam 4 | ○ | |
Shadow of the Tomb Raider | ○ | |
Stormdivers | ○ | |
The Forge Arena | ○ | |
We Happy Few | ○ | |
参考リンク | ニッチなPCゲーマーの環境構築 | NVIDIA |
個人的な注目どころはArk、Battlefield V、PUBGですね。レイトレに対応したPUBGってどうなるんでしょうか。非常に楽しみです…!
ただ、マルチで遊ぶのがメインの対人ゲームの場合、どれだけフレームレートを稼ぐか…というところが重要になるので、フレームレートが急落するようであればオフにする可能性もあります。ここはまだ実際に遊んでみないと…というところ。

逆に、綺麗な映像で遊びたい、ソロ向けのゲームをメインでプレイする人にとってはとても魅力的なのではないでしょうか。
画質を優先する友人は、レイトレの動画を見て『絶対買う!』と言ってました。
まとめ:発売直後の今はまだ様子見が良い
新しいグラボが発売された直後はご祝儀価格で非常に高いので、様子を見る人が多いです。それでもGTX 1080が発表された当時はめちゃくちゃ盛り上がっていて、価格が高くても買うだけの価値はあったと思います。
RTX 2080 Tiは…というと、そこまででもないですね。「フレームレートを稼ぐための、安くて性能が良いグラボ」はGTX 1070 TiやGTX 1080 Tiが強すぎます。
新技術によって映像がどこまで綺麗になるかが注目どころなので、現時点で評価するとなると、やはり微妙です。レイトレ対応のゲームが出てからが勝負。
というわけで、実際にRTX 2080 Tiを使った僕の意見としては『まだまだGTX 1080 Tiが総合的に見て最強だぞ!』ということになります。
RTX 2080 Tiが発表されたことによって、GTX 1080 Tiの良さが浮き彫りになっただけのような…。
RTX 2080 Tiのメリット
- GTX 1080 Tiよりも高い性能
- 特に高解像度ではGTX 1080 Tiを圧倒
- レイトレやDLSSなど、新しい技術が盛り盛り
GTX 1080 Tiに見劣りするとは言っても、性能は間違いなくトップです。
特に高解像度の場合はGTX 1080 Tiよりも良いスコアが出る傾向なので、WQHDや4Kモニターで遊ぶならRTX 2080 Tiは魅力的です。
RTX 2080 Tiのデメリット
- さすがに高すぎる
- 映像を綺麗にする技術ばかり
- GTX 1080 Tiの方が高コスパ
いくら高性能とは言え、グラボ1枚で19万円は高すぎです。GTX 1060が搭載されたゲーミングPCがまるまる1台買えて、さらにゲーミングモニターまで買えちゃいます。
それと引き換えに得たものは、まだ対応していないレイトレ&DLSS…ということで、今はまだ様子見のほうが良さげ。レイトレやDLSSに対応したゲームがさらに増えてくれば選択の余地も増えそうですが、お世辞にもオススメとは言えないグラボです。
もし、『グラボが古いから新しいの買いたいよ~』という人がいたら、GTX 1070 TiやGTX 1080 Tiをおすすめします。
どうしても欲しい場合は、BTOメーカーでPCごと買うのもアリかもしれません。特に古いPCの場合、CPUがボトルネックになってRTXの性能を活かしきれない可能性もあります。
RTX2080やRTX2080Tiを搭載したゲーミングPC一覧
rtx2080tiが気になっていたので、レビュー助かります!!
自分はgtx970のpcをドスパラで買っていて、そろそろ買い替えたいなぁーと思っていたのですが、新グラボが出ると聞いて待っていたのですが、1070ti搭載pcにしようと思います。
Ragiさんコメントありがとうございます!メールでご質問いただいた件もこちらで回答させていただきますね。
1070ti搭載pcはコスパを求めるなら良い選択だと思います!ゲームについてですが、挙げられたタイトルについては問題なく動作します。ただ、ゲーミングモニターを活かすためにフレームレートを稼ぎたい、というのであれば、設定を下げないと少々厳しいかもしれません。
PUBGのスペック検証
https://hiroshi-gamepc.com/pubg-spec/
BO4のスペック検証
https://hiroshi-gamepc.com/call-of-duty-black-ops-4-spec/
BF5のスペック検証
https://hiroshi-gamepc.com/battlefield5-spec/
このようになっています!分からないことがあったら、またご質問お願いします!
リアルタイムレイトレーシングは、新しいゲームに対応するのが通常です。すでに開発がほぼ終わり、完成された(アップデートは続きますが)PUBGではレイトレーシングは対応しないようです。ただし、パフォーマンスを大幅に上げると思われるDLSSは対応するようなのでその点では非常にベンチマークが楽しみです。